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2010年10月22日 (金)

没後120年 ゴッホ展

【概要】
オランダの巨匠フィンセント・ファン・ゴッホが、どのような過程を経て「ゴッホ」になったのか。初期から晩年の作品と共に、彼が影響を受けた名画や技法を紹介する。六本木、国立新美術館にて2010年12月20日まで開催。

【感想】
ゴッホの人生を歩むような作品展。展示は初期の作品から始まり、色彩の研究に没頭したニューネン時代、モダニズムを吸収したパリへと続きます。やがて独特の筆致とまばゆい色合いに満ちたアルル時代を迎え、最後はサン=レミの療養院時代の作品で終わります。

初期の作品からはゴッホが努力の天才であったことが見てとれます。『ヤーコプ・マイヤーの娘』の模写は輪郭がキツく、腕や肩には立体感がありません。解説によると彼はアントン・モーヴから絵画の指導を受けて素描の重要さを痛感し、デッサンに明け暮れたと言います。

やがてニューネンに移住したゴッホはドラクロワの色彩理論を学びますが、波打つような筆致や、目の覚めるような色づかいはまだ見られません。

明らな変化を感じるのは次のパリ時代。デッサンは力強くなり、色彩は鮮やかさを増します。注目は人体模型の模写と少女のデッサンと『マルメロ、レモン、梨、葡萄』です。

人体模型の油絵は荒々しいばかりの筆致で描かれ、少女のデッサンは立体的です。描線の数は少ないのに頬の丸みや肌の柔らかさが見事に表現されています。また『マルメロ、レモン、梨、葡萄』はゴッホが額装を手がけたなかで、唯一現存する絵画だということ。ゴーギャンが「黄色い静物画」と呼んだとおりオレンジがかった黄色で統一され、強烈な存在感を放っています。

そしていよいよアルルの時代です。「これぞゴッホ」と思う作品がずらりと並んでいます。彼の暮らした部屋を描いた『アルルの寝室』、ゴッホがミレーに感銘を受けて取り組んできた『種まく人』など、独特の波打つような筆遣いと美しい色彩に満ちた作品を堪能できます。

しかし圧巻なのはサン=レミおよびオーヴェール=シュル=オワーズ時代の作品です。うねるような描線の『麦を束ねる人』と『渓谷の小道』。青紫と黄色のコントラストが美しい『サン=レミの療養院の庭』と『アイリス』。晩年の作品だと分かって見るせいか、ゴッホが命を削るように描いたように思えてなりません。作品展を見に行って涙がこみあげてきたのは初めてです。

展示方法と充実の解説もすばらしかった。「パースペクティブ・フレーム」(※方眼目の枠を利用した描画法)の紹介のほか、CGや立体模型を使った展示、スライドコーナーなどもアリ。モネ、シスレー、ピサロといった巨匠のほか、歌川国芳や歌川広重などの浮世絵も見ることができます。個人的にはロートレックの『テーブルの若い女』が印象的でした。ゴッホ展でロートレックが見られるとは思わなかった!

インターネットの画像検索で満足してたらもったいない。実物はより美しく強烈。リアルだからこそ体感できるスゴい世界が広がっています。

●公式サイトはこちらから
http://www.gogh-ten.jp/tokyo/

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