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2010年8月20日 (金)

映画「オーケストラ!」

【あらすじ】
アンドレイ・フィリポフはボリショイ劇場の清掃係。彼は「天才」と呼ばれた伝説の指揮者だ。1980年当時、旧ソ連ではユダヤ人排斥の政策が取られていた。そんななか指揮者のアンドレイはユダヤ人の楽団員をかばい、地位を追われたのだった。

それから約30年――。思わぬ形でアンドレイにチャンスが訪れる。清掃中、支配人室にとどいた1枚のFAX。それがパリのシャトレ座からの出演依頼だと気づいたアンドレイは、勝手に出演を了承し、かつての仲間を呼び集める。
奇想天外で感動的なオーケストラ楽団の物語。ラデュ・ミヘイレアニュ監督。アレクセイ・グシュコブ主演。

【感想】※ネタバレを含みます
アンドレイは親友で元チェロ奏者のサーシャにFAXを見せ「ボリショイ管弦楽団としてフランスに行こう」と誘います。始めはあっけにとられていたサーシャでしたが、アンドレイの熱意に動かされ同意します。


間もなく彼らはフランス語のできるマネージャー兼、資金の調達役として旧ソ連時代の宿敵イワンに声をかけ、かつての仲間も呼び集めます。その一方でアンドレイはチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演目に選び、人気のヴァイオリニスト、アンヌ=マリーをソリストとして指名します。


登場人物はみんな大胆です。結婚披露パーティーで銃撃戦が勃発するなかスポンサーを見つけ、空港内でパスポートを偽造します。演奏用の楽器が揃わないまま渡仏し、スーツは現地で調達するといった具合。大胆というよりほとんど行き当たりばったりです。


しかもパリに着いた楽団員は大ハシャギ。リハーサルそっちのけでドライブに商売に遊びに精を出します。これで楽団は崩壊寸前。コンサートなんてあり得ない状況です。


でも彼らは何よりも音楽を愛していました。


青物市場、うらぶれた劇場、野外、そしてパリで……。楽団員たちは思い思いに演奏します。とくに印象深いのが前半の食堂での「口演奏」と、パリでの地下鉄のシーン。前半、楽器も演奏の場も失った人々は食堂に集まり、楽器を弾くマネをしながら口で音を出します。またパリではアンドレイたちが消えた楽団員を捜していると、向かいの列車には踊るようにヴァイオリンをかきならす彼らがいます。とても微笑ましく素敵なシーンです。


なんだかんだ言って、彼らは音楽が大好き。音楽抜きの暮らしなんて、あり得ない。そんな音楽や仲間への深い愛情は、大舞台へのコンサートへと引き継がれていきます。


そしていよいよ、奇跡のコンサートの幕開けです。バラバラだった楽団員たちのプロ魂が呼び覚まされます。彼らはアンドレイの指揮とアンヌ=マリーの演奏で結束し、音楽家としての誇りを取り戻していきます。コンサートが成功するという描写は想定内だったけど、美しいヴァイオリンの音色もあいまって、思わず涙がこぼれます。


本作にはプロの音楽家が55人出演していますが、主要キャストのアンドレイ、サーシャ、アンヌ=マリーを演じているのは俳優です。しかし彼らの堂々とした指揮、演奏、とくに楽器を奏でるときの指運びはリアル。本物の音楽家に見えました。演奏シーンに説得力があるからこそ、深まる感動。ブラボー! ブラボー!


※「オーケストラ!」公式サイトはこちらから
http://orchestra.gaga.ne.jp/

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