映画「ファクトリー・ガール」感想
1650年代のポップカルチャー全盛期、まばゆいほどのきらめきを放ったイーディ・セジウィックの物語。
概要は、こちらも参照ください。
【感想】(※一部ネタバレを含みます)
切ないというのは、映画「ファクトリー・ガール」のような世界を言うのだろう。
10代の少女イーディは画家を目指し、ニューヨークへ渡る。そして彼女はポップカルチャーのシンボル的な存在、アンディ・ウォーホルと運命的な出会いを果たす。東欧の移民で貧しい家柄の出身であり、ルックスにコンプレックスを持つウォーホル。良家の子女で笑顔がとびきりキュートなイーディ。育ちも外見も対照的な2人が性を超え、特別な友情で結ばれていく――。
2人を結びつけたのは内面的な孤独。ウォーホルは常に、信望者やマスコミに囲まれている。だが多くは彼の知名度や注目度を利用してのしあがろうとする連中だ。そんな中、理屈抜きで彼の孤独を理解したのがイーディだった。なぜなら彼女も華やかな暮らしの陰で、孤独に耐え苦しんでいたからだ。そんなイーディの笑顔に隠された悲劇を、ウォーホルも直感的に悟ったのかもしれない。
だが急速に深まった2人の友情は、ロックスター、ボブ・ディランの登場で一気に崩れ去る。イーディがダイヤモンドのような輝きを失い、底知れぬ闇に落ちていくさまは余りにむごく切ない。
スーパーの売り場に積まれたキャンベル・スープの缶や、街角に貼られたマリリン・モンローのポスターを見かけるたび、私は映画「ファクトリー・ガール」を思い出さずにはいられない。音楽も映像もファッショも、華やかでおしゃれ。全てがクール。だからこそ、イーディの短すぎる人生が余計に辛く悲しく胸に響く。エンドロールで映し出される実際のイーディの姿に、その想いが一層募る。
よくある設定で危機をあおり、山場でサビの効いたキャッチーな音楽をかけて、犠牲者を出しつつ事態が収束……のような安っぽい感動に飽きた人には、絶対的にオススメな一作。このような佳作を劇場のスクリーンで見ることができて本当によかった。
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