2008年5月17日 (土)

「プロフェッショナル」第86回:堤幸彦さん

 様々な分野の第一線で活躍する仕事のプロに焦点を当てたシリーズ。第86回の放送は映画監督・演出家の堤幸彦さん。
 堤幸彦さんと聞いてピンと来ない人でもドラマ「トリック」や「ケイゾク」「下北サンデーズ」、映画「明日の記憶」「トリック 劇場版」と聞けば大抵分かるのではなかろうか。
 堤さんはミステリーからコメディ、人間ドラマに至るまで幅広い作品を手がけている。弱点ナシ、妥協ナシ、向かうとこ敵ナシと言った名監督だ。
 ところが本放送を見て意外な事実に驚いた。アシスタント・ディレクター時代は「電信柱(=立っているだけの役立たず)」と揶揄され、ダメ社員と見られていたというのだ。このとき彼は「自分をダメだと言った相手といつか対等な立場で仕事をする」と決心したそうだ。だが、このあとの発言が何よりも衝撃的で感動的だった。
「仮想敵はいます。――自分です」
 自分を見下した相手に対する反骨精神で道を切り開いたのかと思いきやそうではなかった。この人、とことん自分と向き合い、自分と闘ってきたのだ。なれ合いや言い訳を許さない厳しさ。潔く美しい。

●NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」公式サイト
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/080513/index.html

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2008年5月14日 (水)

映画「相棒 ――劇場版」

【あらすじ】
 男性人気キャスターが首つり遺体で発見される。その頃、やり手の衆議院議員、片山雛子の事務所には小型の爆発物が送りつけられ、特命係の杉下右京と相棒の亀山薫は護衛を担当することに。間もなく片山議員は何者かによって襲撃される。
    一見、なんの関連もない2つの出来事――。しかし遺体の発見場所と片山議員が襲撃された現場にはある共通点があった。それはアルファベットと数字の組み合わせによる赤い文字。誰よりも早くその存在に気づいた右京は、薫と共に捜査に乗り出す。

【感想】
(※一部ネタバレを含みます)
 社会派刑事ドラマ「相棒」の劇場版第1弾。「相棒」は実際の事件や社会問題をもとに作られるエピソードが多くある。徹底的な取材から生まれる重厚な人間ドラマと、大小のどんでん返しがを含む高度な推理劇には毎度圧倒される。果たしてこのクオリティを劇場版で維持できるのか――。長年の相棒ファンにとっては期待と不安の入り交じる鑑賞となった。
 だが本編が始まってすぐに不安は吹き飛んだ。推理モノなので多くは言えないが、右京ならではの謎解き、薫ならではのアクション、3バカトリオ……もとい「トリオ・ザ捜一」とのお約束の掛け合いも満載。従来の「相棒」ファンの期待を裏切らない内容、新たな「相棒」ファンを掴むストーリーとなっている。
 しかし単純に「面白い」だけで終わらないのも「相棒」の良さだ。本作では情報化社会の危険性を示している。些細な出来事をきっかけに世論が一定の方向へ大きく傾く危うさ。弱みを見せた途端、徹底的に潰されるような恐ろしさ。登場人物の静かな怒りには私自身、大いに反省した。
 観賞後は思わず隣にいたご婦人と相棒ネタで盛り上がった。
 劇場版第2弾は是非、第6シリーズ「編集された殺人」「黙示録」等を担当した、櫻井武晴さんの脚本でお願いします。

●公式サイト
http://www.aibou-movie.jp/

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2008年5月11日 (日)

映画「ブラン・ニュー・ワールド」

【あらすじ】
近未来のイギリス――。舞台となる島ではかつて大規模な戦闘があり、現在でもイギリス軍が駐留している。ここは将軍プリンスのもと、「イギリスのバラ」と呼ばれる女性が兵士の慰安のために送り込まれていた……。

【感想】
 全くワケの分からない作品だった。何なんだ、この映画は? 兵士もイギリスのバラと呼ばれる女性も寝ることしか考えていない。軍の詰め所だろうが、人前だろうが、パブだろうが、野外だろうが関係ない。まるでさかりのついた獣だよ、彼らは。本編の5割~7割が濡れ場ときたモンだ。しかも後半のシャワー室のシーンでは撮影時に使用したであろう、マイクの先端が映ってるし! 勘弁してくれ。
 見所と言えば、軟弱兵士のジミー役を演じたガイ・ピアースだけ。ハリセンボンの箕輪さんのように1本だけ前歯が黒ずみ目は泳ぎまくってる。正義を貫こうとしても暴力の前に屈しる、ヒヨワで情けない男を演じきっている。で、でもそれだけじゃ、元は取れないなぁ~。
 内容にも驚いたが、日本でDVDが発売済みと知って2度ビックリ。「A SLIPPING DOWN LIFE」のような素晴らしい作品が日本未発売で本作が発売されているのは、やっぱり裸のシーンが多いから? なんだかなあ。
 アメリカ版のDVDには特典映像として予告編が収録されているがハッキリ言って、予告編の出来は本編を上回っている。予告編だけ見ていると、硬派な戦争映画かと、勘違いするだろう。

●DVDはこちらから

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2008年5月 9日 (金)

映画「A SLIPPING DOWN LIFE」

(※意味は「滑り落ちる人生」アメリカ。2003年制作)

【あらすじ】
 片田舎のさびれた遊園地で働くエヴィは内気な女性。現在、父親と2人で暮らしている。母親はエヴィを出産して間もなく他界した。将来の夢も希望もなく日々を過ごすエヴィの楽しみと言えば、夜道をドライブしながらハンドルから手を放すことと、ラジオを聴くことくらい。
 そんなある日、ラジオから甘くけだるい歌声が聞こえてくる。そのヴォーカリストの名前はドラムストリングス・ケイシーと言った。エヴィは1度聴いたその歌声にすっかり魅了され、ケイシー見たさにライブハウスに通い詰める。しかし彼はいつも開放的でセクシーな女性たちに囲まれており、エヴィには声をかける隙もない。そこで彼女はケイシーの熱烈なファンだとアピールするため、予想外の大胆な行動に出る――。

【感想】
(※一部ネタバレを含みます)
 大人の男女が繰り広げる、みずみずしい青春物語。エヴィを演じるのは映画「ホーンティング」「酔いどれ詩人になるまえに」のリリ・テイラー。ドラムストリングス・ケイシーを演じるのは、映画「メメント」「ファクトリー・ガール」のガイ・ピアース。
 エヴィとケイシー、2人の恋はまるで初恋のよう。甘さとせつなさが同居していて、青春のときめきを思い出させてくれます。詩人のような一面を持つケイシーにエヴィが恋をするのも納得できるし、繊細さと大胆さを併せ持つエヴィにケイシーが惹かれていくのもうなずけます。なぜ、こんなに素晴らしい大人の純愛物語が日本ではDVDすら発売されていないのか、不思議でなりません。
 特筆すべきは全編に渡って流れるドラムストリングス・ケイシーの曲。全曲ガイ・ピアースがギターを演奏し、歌っています。さすが、自宅に音楽スタジオを持っているだけあって、ガイの歌唱力は抜群です。ギターを弾くときの姿もさまになっています。「メメント」のスタイリッシュなガイを超えるクールな姿。文句なくカッコいい!
 ところで、この作品には小説の原作があります。タイトルは映画と同じ「A SLIPPING DOWN LIFE」。ただしエヴィは17歳の高校生、ケイシーは19歳の設定です。小説は全編に渡って会話が多く、映画のセリフとも一部かぶっています。英語が聞き取れない方は、小説を読んだあとにDVDを見ると分かりやすいかもしれません。ガイ・ファンは必見! 惚れ直すこと請け合いです。

※DVDはこちらから。
※小説はこちらから。

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2008年5月 8日 (木)

STUDIO LIFE「夏の夜の夢」(2)

劇団STUDIO LIFEによるウィリアム・シェイクスピア作の代表的な喜劇。今回はDiana(ディアナ)チームで鑑賞。

※あらすじ及び、Luna(ルナ)チームの感想はこちらをご覧ください。

【印象深い出演者について】
・林勇輔さん(女王ティターニア):
Dianaチームの林さんも最高でした。今回の演目では映画「プリシラ」で使用されているのと同じ楽曲があるせいか、余計に「プリシラ」の華やかさと重なります。セリフも歌もダンスもとても良かった!

・石飛幸治さん(王オーベロン)
こんなに歌がお上手だとは思いませんでした。今回のワイルドさとギャグ加減、和製ウィル・スミスという雰囲気。

・奥田努さん(ディミートリアス)
笑わせ所で笑わせていただきました! 声もよく聞き取れて良かったです。

・山本芳樹さん(ライサンダー)
普段のライサンダーと花の魔力で変になったあとのメリハリが効いていて大変楽しめました。背筋がピンとしていて姿勢が美しく、身のこなしが軽い! あんなに激しく動いても呼吸が乱れない(セリフに全然ひびかない)のがプロだなあ~。

●「夏の夜の夢」サイト

http://www.studio-life.com/stage/natsu2008/index.html

●STUDIO LIFE公式サイト
http://www.studio-life.com/

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2008年4月30日 (水)

映画「ファクトリー・ガール」キャスト&スタッフ

現在公開中の「ファクトリー・ガール」。今日のCS放送での独立系映画ランキングでは初登場2位と発表されていました。大変素晴らしい作品ですので、主なキャストと制作スタッフをアップしたいと思います。
(※表記は公式パンフレットに準拠)

●メイン・キャスト
イーディ・セジウィック……シエナ・ミラー
アンディ・ウォーホル……ガイ・ピアース
ロック・スター(ボブ・ディラン)……ヘイデン・クリステンセン

ニコ……メレディス・オストロム

●オリジナル・スタッフ
監督……ジョージ・ヒッケンルーパー
脚本……キャプテン・モズナー
撮影……マイケル・グレーディ
衣装……ジョン・ダン
音楽……マット・アベール(音楽監督)/エドワード・シェアマー(音楽)

字幕翻訳……石田泰子

主役の3人以外に傑出していたのがニコ役のメレディス・オストロム。ほとんどセリフもなく出番もわずかですが鮮烈な印象を残しています。ああ~。DVDは当然「買い」だけど、大画面で見るべき映画。もう一度劇場へ行く予定。

レビュー感想はこちら。

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2008年4月29日 (火)

映画「屋敷女」

【あらすじ】
(※未見。各種レビューを参考にしています)
クリスマス・イヴ――。出産を控えた妊婦サラの家へ見知らぬ女性が訪ねてくる。そのただならぬ様子に、サラは不信感を抱いて警察へ通報する。やがて静寂が戻った彼女の家で想像を絶する惨劇が始まる!

映画「ファクトリー・ガール」上映前の予告編にあった一作。「この女、凶暴につき」というキャッチでは足りないくらい、この女、凶暴です。予告編の時点でスクリーンを正視できませんでした。恐怖につぐ恐怖。鮮血とバイオレンスの暴走。この衝撃は映画「CUBE」を見たときの底知れぬ不気味さに似ているかも……。余りに強烈だったので紹介させていただきました。怖ろしや~。

●配給元トルネードフィルムのサイト
http://www.tornadofilm.jp/lineup/archives/2008/03/post_108.html

●「屋敷女」公式サイト
http://www.cinemacafe.net/official/yashiki-onna/

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映画「ファクトリー・ガール」感想

 1650年代のポップカルチャー全盛期、まばゆいほどのきらめきを放ったイーディ・セジウィックの物語。
概要は、こちらも参照ください

【感想】(※一部ネタバレを含みます)

 切ないというのは、映画「ファクトリー・ガール」のような世界を言うのだろう。
 10代の少女イーディは画家を目指し、ニューヨークへ渡る。そして彼女はポップカルチャーのシンボル的な存在、アンディ・ウォーホルと運命的な出会いを果たす。東欧の移民で貧しい家柄の出身であり、ルックスにコンプレックスを持つウォーホル。良家の子女で笑顔がとびきりキュートなイーディ。育ちも外見も対照的な2人が性を超え、特別な友情で結ばれていく――。
 2人を結びつけたのは内面的な孤独。ウォーホルは常に、信望者やマスコミに囲まれている。だが多くは彼の知名度や注目度を利用してのしあがろうとする連中だ。そんな中、理屈抜きで彼の孤独を理解したのがイーディだった。なぜなら彼女も華やかな暮らしの陰で、孤独に耐え苦しんでいたからだ。そんなイーディの笑顔に隠された悲劇を、ウォーホルも直感的に悟ったのかもしれない。
 だが急速に深まった2人の友情は、ロックスター、ボブ・ディランの登場で一気に崩れ去る。イーディがダイヤモンドのような輝きを失い、底知れぬ闇に落ちていくさまは余りにむごく切ない。
 スーパーの売り場に積まれたキャンベル・スープの缶や、街角に貼られたマリリン・モンローのポスターを見かけるたび、私は映画「ファクトリー・ガール」を思い出さずにはいられない。音楽も映像もファッショも、華やかでおしゃれ。全てがクール。だからこそ、イーディの短すぎる人生が余計に辛く悲しく胸に響く。エンドロールで映し出される実際のイーディの姿に、その想いが一層募る。
 よくある設定で危機をあおり、山場でサビの効いたキャッチーな音楽をかけて、犠牲者を出しつつ事態が収束……のような安っぽい感動に飽きた人には、絶対的にオススメな一作。このような佳作を劇場のスクリーンで見ることができて本当によかった。

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2008年4月26日 (土)

STUDIO LIFE曽世海司さん

男性だけの劇団STUDIO LIFEには素敵な俳優さん揃い。曽世さんもその1人です。
(旧:曽世海児さん)

NHK「迷宮美術館」の司会で俳優の段田安則さんのような知性。
ディランでおなじみのコメディアンなだぎ武さんのような饒舌な語り口。
THE ALFEEの高見沢俊彦さんのような高貴なムードを兼ね備えた俳優さんです。
曽世さんの見所は長ゼリフ。どんなに長いセリフになっても絶対に噛まず、早口にならず、情景が浮かぶような語り口で観客をお芝居の世界へといざなってくれます。

●曽世海司さんプロフィール
http://www.studio-life.com/actor/index.html
サイト内Junior2参照。

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STUDIO LIFE「夏の夜の夢」

ウィリアム・シェイクスピア作の代表的な喜劇。

【あらすじ】
妖精の王オーベロンと女王ティターニアは、かねてよりいがみ合い、森でののしりあう日々を過ごしていた。ある日、オーベロンは口の減らないティターニアをギャフンを言わせようと、子飼いの妖精パックを使ってあるイタズラを仕掛ける。そこへ相思相愛のカップル、一方通行の想いに胸を焦がす男女、村人が訪れたことから、とんでもない騒動が巻き起こり……。

男性だけの劇団STUDIO LIFEによる楽しい舞台。ほぼ満席。
STUDIO LIFEの舞台では、1つの演目を複数のチーム(配役)で演じます。今回はLuna(ルナ)、Diana(ディアナ)の2チームがあります。まずはLunaで鑑賞。予備知識なく行ってみたらビックリ! ミュージカル仕立てでした。

【印象深い出演者】
・林勇輔さん(女王ティターニア):
おばちゃんを演じたら天下一品。歌にもダンスにもキレあり! 映画「プリシラ」に相通じる華アリ!

・坂本岳大さん(ヘレナ):
劇団昴出身の俳優さんだけあってホントにお上手。「ロミオ&ジュリエット」のときの「チャイナに行っちゃいナ」ばりのギャグが冴えてました。グーグーグー!

・曽世海司さん(ライサンダー):
つくづく声の素敵な俳優さんだ。シェイクスピア作品なので、曽世さんの情緒溢れる長ゼリフを楽しみにしていったのだが、思ったよりも出番が少なく残念。長ゼリフは曽世さんと山本芳樹さん(Dianaチーム主演)が抜きん出てスゴイ。二人が語ると情景が鮮やかに広がるのです。二人芝居やってくれ~。

・三上俊さん(豆の花):
声がすっごくよくなった。少女漫画から抜け出したような容姿とは裏腹に、たまに鼻に抜けちゃうヘンテコ声が残念だった。でも今回はそれがなかった。毎度パンフレットを見て思うけど、被写体になったときの存在感はすごい。

・山崎康一さん(ボトム):
これぞ芝居! 王道を感じるセリフ回し!

【感想】
前作プロデュース公演「カリフォルニア物語」に比べて統一感があり100倍よかった。ここ1年半ほどSTUDIO LIFEの演目はほとんど観ているけど、今回は歌にダンスにと要素が盛りだくさんで楽しかった!

ただ、聞き取れないセリフがあって残念だった。本人は同じセリフを何百回も言っているので分かっている。でも、観客は初めてその芝居に触れるのでセリフのお尻が息ばっかりになったり、滑舌が悪かったりすると聞き取れないし伝わらない。
これって「翻訳者は原文の意味が分かっているけど、読んでいる人に伝わってない」みたいなのと似てるのかな~と思いました。いくら素敵な訳文が含まれていても、基本ができてない訳文はダメみたいな……。情熱タップリのお芝居は観たい。でもそれ以前に聞き取れるセリフでお芝居を観たい。ついでに言うと個人的には顔の綺麗度(人気度)は二の次でいい。

●「夏の夜の夢」サイト
http://www.studio-life.com/stage/natsu2008/index.html

●STUDIO LIFE公式サイト
http://www.studio-life.com/

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